セミネール１巻「技法論」上巻
ｐ１００
つまり祖父が非常に積極的で精力的な人物であったがために
つまり祖父が非常に創造的constructifで多産なfecond人物であったがために
ｐ１０１
この特殊な表現形態（脳味噌を食べたこと）において −そこでは主体は常に否定という過程に従うので、彼のエゴの統合は保たれていますが −
この特殊な表現形態において −そこでは主体は常に否定という過程に従い、そのおかげで彼のエゴの統合は保たれていますが −
括弧内は訳者による補足。文脈からいって、特殊な表現形態とは、「私は剽窃している、私は（祖父や友人のような）創造的人物ではない」といいつづけるディスクールのことではないか。
ｐ１９７
最後の手段である性器期的なの理想状態へ向かって進歩すると言おうとしているのではありません
最後の手段である性器期という理想状態へ向かって進歩すると言おうとしているのではありません
心的経済の中で自我の果たす現実的機能
心的経済の中でエゴの果たす現実的機能
ｐ２０３
情緒の成熟が達成されたことの目安として
情動の成熟が達成されたことの目安として
ｐ２４９
覚醒状態においては逆に主体は −少なくとも『夢判断』を読んだことがなければ、− 眠っているときは、内的、体験的な何かを告げ知らせてくれる身体感覚を十分に知覚することはできないでしょう。
身体感覚は、睡眠中には内的・体感的な何かを告げ知らせてくれますが、覚醒状態においては逆に主体は −少なくとも『夢判断』を読んだことがなければ− その身体感覚を十分に知覚することはできないでしょう。
セミネール１巻「技法論」下巻
ｐ７
彼らは常に、「脱性化された」リビドーについて −それは「脱リビドー化された」リビドーという意味でなかったら正しいのですが− あるいは「脱攻撃化された」攻撃性について論じています。
彼らは常に、「脱性化された」リビドーについて −かろうじて「脱リビドー化された」リビドーとは言わないでくれています− あるいは「脱攻撃化された」攻撃性について論じています。
ｐ８
「ああ、わたし、これからはずっとOとO'とにいるんじゃないんだわ」。
「ああ、わたしがこれからずっとOとO'とにいると思っちゃいけないわ」。
ｐ９１
しかしバリントは、この遊びがランガージュの現象だということを見逃しています。
しかしバリントは、この例にはランガージュの現象があるということを見逃しています。
ｐ９８
ランガージュに関する何等かの自然主義的傾向のために
ランガージュに関する自然主義的傾向、といういうわけのわからないもののために
ｐ１２９
反復強迫において問題になっていることは
反復自動症において問題になっていることは
ｐ１７０
そういうものが一般良識という心理です。
一般良識の心理はそのような次元にあります。
ｐ２０３
防衛という視点の下で捕らえられてる
防衛という視点の下で捕らえられている
・セミネール第３巻『精神病』上巻
ｐ１３
この車には何か意味があるのです
この車には何かシニフィカシオンがあるのです
ｐ１４
そしてそれは、「基礎的現象」を、われわれが理解していると自称するとき
そしてそれは、「基礎的現象」を、われわれが了解していると自称するとき
ｐ１５
その国語のすべての使用法を再構築する言語学者の天才なのです
その国語の記号のすべての使用法を再構築する言語学者の天才なのです
問題の素材であるシニフィアンについて理解できるだけでなく
問題の素材であるシニフィアンについて了解できるだけでなく
ｐ２１
アリストテレスは、人間が考えると言ってはいけない、人間は魂「によって」考える、といわねばならないと指摘しました。それと同様に、主体はその自我「によって」「自らに」語る、と私は言いたいのです。
ただ、正常な主体の場合は、自我によって自らに語るということは、全く明らかであるというわけにはいきません。
アリストテレスは、人間が考えると言ってはいけない、人間は魂「でもって」考える、といわねばならないと指摘しました。それと同様に、主体はその自我「でもって」「自らに」語る、と私は言いたいのです。
ただ、正常な主体の場合は、自我でもって自らに語るということは、全く明らかであるというわけにはいきません。
下巻２７頁では「魂でもって考える」と訳されているが、そちらを採用すべきと思われる。
それによって語っている自我と完全に同一化してしまった主体
自我でもって語っていながら自我と完全に同一化してしまった主体
その自我によって話すのです
その自我でもって話すのです
ｐ３０
それを患者が解釈するということになってしまいます
それを患者が説明するということになってしまいます
「解釈妄想病」というときの「解釈」とは別の語である。ここは患者自身が自らの「基礎的現象」について、二次的な妄想などで説明を試みるという文脈であるが、ｐ３５で指摘するように、「解釈」も「基礎的現象」でありうるので、ここに「解釈」なる訳語を使用することは不適切である。
ｐ３３
彼は起こっている事柄を、意味のある言葉で象徴化しているのです
彼は起こっている事柄を、シニフィカシオンに関する言葉で象徴化しているのです
ｐ３５
基礎的な現象としての着想を取り上げてみましょう
基礎的な現象としての解釈を取り上げてみましょう
「解釈妄想病」というときの「解釈」と同じ語が用いられている。ここを「着想」としたら、解釈妄想病との関連が見えなくなってしまう。
ｐ４７
つまりそれらの人達が次々と名前を上げられ
つまりそれらの人達が次々と名前を挙げられ
これは単なる誤植です。
ｐ６１
そのとき彼女は私たちの共通の対象であるもの −小文字のａの他者− について語ります。
そのとき彼女は私たちの共通の対象であるもの −小文字のａの他者− でもって語ります。
ｐ８７
シンフィアンという用具
シニフィアンという用具
これも単なる誤植です。
ｐ９０
シニフィアンがこのようにある意味を帯びる時
シニフィアンがこのようにある負荷を帯びるcharge時
ｐ９９
症状という形で作り上げられているもうひとつのラング、つまりヒステリー患者にしろ強迫症者にしろ、彼と他者との想像的な弁証法によって作り上げられているもうひとつのラングです
諸症状でもって作り上げられているもうひとつのラング、つまりヒステリー患者にしろ強迫症者にしろ、彼と他者との想像的な弁証法でもって作り上げられているもうひとつのラングです
この点は
これらの点は
ｐ１２４
父親や母親あるいは身近な人についての初期の妄想や
父親や兄あるいは身近な人についての初期の妄想や
ｐ１２６
彼がたどり着いたある着想に従って書かれています。この着想のおかげで、彼はその精神病を支配できるようになったのですが、その着想とは、自分は神の女だということです。
彼がたどり着いたある考え方に従って書かれています。この考え方のおかげで、彼はその精神病を支配できるようになったのですが、その考え方とは、自分は神の女だということです。
ｐ１３に出てきた「妄想着想」という場合に用いられる語「intuition」と区別した。
セミネール７巻「精神分析の倫理」上巻
ｐ８８
神経装置のホメオスターシスという自律制御の場は、不調和を含みうるという点で、たとえば体液のバランスを司っている一般的なホメオスターシスとは違います。体液のバランスが登場するのは、内部に由来する刺激の次元としてです。
神経装置のホメオスターシスという自律制御の場は、〈外部からの感覚刺激を扱っているという点で、〉たとえば体液のバランスを司っている一般的なホメオスターシスとは違います。体液のバランスが登場するのは、内部に由来する刺激の次元としてです。
翻訳の「不調和を含みうるという点で、」という部分は原文にない。翻訳の訂正としては単に削除すればよいのだが、あえてここに補足するとすれば、上記の括弧のような内容になるのではないか。
セミネール７巻「精神分析の倫理」下巻
ｐ３８
つまり、私はたじろいで隣人を裏切り同胞を生かすか、それとも私は、私の同胞を守るという口実で自分の享楽を諦めるか、いずれかということになります。
つまり、私は『同胞を生かすために隣人を裏切ること』にたじろぐか、それとも私は、私の同胞を守るという口実で自分の享楽を諦めるか、いずれかということになります。
変更部分は、原文でも、同胞を生かそうとするのか否か、どちらともとれるところです。文の後半と逆と取りました。
２００１年１２月２日作成／２００５年１１月１１日増補（追加分は行頭の「・」で示した）
